こんにちは!エコバッグハウスです。
印刷技術にはいくつかの種類がありますが、そのなかの「シルクスクリーン印刷」というものをみなさんはご存知でしょうか?
この名前自体はあまり聞いたことが無いという方も多いかもしれませんね。
しかし、一昔前に流行した “プリントゴッコ”や昔の学校で学級新聞など印刷した「ガリ版印刷」といえばわかる方もいらっしゃるかと思います。
今回は、そのシルクスクリーン印刷の歴史とメリットなどを、ご紹介していきたいと思います。
シルクスクリーン印刷とは
孔版印刷の一種
シルクスクリーン印刷とは孔版印刷の一種で穴の事を意味する「孔」の字が示すように目の粗い絹(シルク)の布を張った枠(紗といいます)にインクが通過しない孔(あな)と通過する部分の孔を作ることにより版を製版します。
その版にインキを乗せスクイージやスキージと呼ばれるゴム製のヘラのようなものを使ってインキを押し出すことにより印刷したいものに印刷します。
1色に1つの版が必要で1色1色刷り重ねていきます。
これにより多彩な色使いも表現できます。
通常の「インクを版に付けて印刷する方法」とは原理が違う印刷方法ですが、昔はやった“プリントごっこ”や昔の学校でプリントの印刷などによく使われていたガリ版印刷などもこの一種と言えますのでみなさんにとっても案外馴染みのある技法ではないかなと思います。
最近はナイロンやポリエステルも
最近ではコストが高いシルクではなくインクの通りがいいように改良された網戸の網目のようなメッシュを使う事が多いです。
素材はステンレスのような金属線やナイロンやテトロンなどの合成繊維です。
それにより呼び方も「シルクスクリーン印刷」とは言わず「スクリーン印刷」と呼ぶことが主流となっていて日本以外でもその呼び名が共通となっているようです。
枠に張ってあるメッシュの網目の細かさを変える事により細かなデザインも鮮明に再現できます。
枠も木枠からより強度のあるステンレスの枠へと変化しています。
シルクスクリーンの歴史
ステンシルが元
シルクスクリーンは版画や印刷技法の一種でセリグラフとも呼ばれています。
ステンシル(型紙)を使って印刷する方法で、実はルーツは私たち日本人にはなじみの深い友禅染めの捺染技術で紅型や伊勢型紙や江戸小紋など型紙を使った印刷技術です。
世界ではジャパニーズ・ステンシルと呼ばれていました。
それをヒントにイギリス人がシルクを使って型を作り印刷しそれを「シルクスクリーン・ステンシル」としたのが始まりと言われていて「シルクスクリーン印刷」と呼ばれるようになりました。
日本にはヨーロッパから戦後に伝わってきた印刷技術のようですがそのルーツが日本のものだったとは驚きです。
その後製版技術が進歩して精巧な図柄の印刷もできるようになりました。
アンディ・ウォーホールらによってポップアートにも定着
シルクスクリーンは芸術の表現方法として20世紀初頭に実験的に芸術作品として使われ始めました。
1950年代後半以降アメリカのポップアートの作家のアンディ・ウォーホールとロバート・ラウシェンバーグはシルクスクリーンを使った作品を発表した作家の先駆者として名前をあげられています。
特にアンディ・ウォーホールは1960年代に版を写真のネガフィルムから作成したシルクスクリーン版画作品のポップアートを積極的に次々と発表しました。
それにより芸術の表現方法の1つとしてシルクスクリーン印刷は確立され、世間での認知も広まりました。
日本でも草間弥生や横尾忠則などシルクスクリーンを作品に取り入れている作家が多くみられます。
シルクスクリーン印刷と凸版印刷の仕組みと違い
<凸版印刷>
刷版の凸部分へインキを付着させ印刷するため、刷版にくっつくインキしか印刷できない。
また刷版に付着するインキ量に限界があり、インキの転移量を大幅に変えることはできない。<シルクスクリーン印刷>
インキが刷版を通過すれば印刷できるため、多様なインキに対応する。
刷版の厚み・紗の目(スクリーンメッシュ)・刷り回数を変えることでインキの付着量を変えることができる。(株式会社横山工藝 Home Pageより)
シルクスクリーン印刷の版作り方手順
①感光液を紗に塗ります。
②①を乾かします。(日光や蛍光灯にあてないように注意)
③露光する
印刷したい柄を版に焼き付ける作業です。(出来上がりは反転しています。)
④洗う
③の版を強めの圧の水で水洗いします。
⑤完成
シルクスクリーン印刷の印刷工程
①版にインクを置く
②スクイージで版にインクをこすりつけることによりインクが押し出され印刷物に印刷される。
③インクを安定させるため乾燥させる。
④何色か色がある図柄の場合は②と③をその都度繰り返す。
⑤仕上がりに不備がないか確認して完成
シルクスクリーン印刷のメリット
空気と水以外のあらゆるものに印刷できる
シルクスクリーン印刷は空気と水以外ならあらゆるものに印刷できると言われているくらい柔軟性のある印刷方法ですのでほかの印刷方法では印刷できないようなものの印刷によく使用されています。
・インクを印刷したいものに直接乗せるという印刷方法ですので孔を通りさえすればいいので使えるインクの種類は多くあります。
・版がメッシュで柔らかいので金属やガラスなどの硬いものから布や生地や印刷用紙のような柔らかい物まで印刷することができます。
・版に柔軟性があるのでどのような形状のものでも密着させることができますので素材やサイズを問わずさらには缶やボトルなどの曲がった面にも印刷できます。
・印刷する時の圧力が低いので壊れやすいお菓子などの食品やガラス製品などにも印刷可能です。
・インクを乗せていく方法ですので厚く盛ることもできますので凹凸のある点字の印刷にも利用されていま す。
・直接インクを落とし何度も刷り重ねるという方法ですのでインクの盛り上がった特殊な印刷も可能です。
・厚く盛ることができるということは密着性にすぐれ耐候性もありまた鮮明な発色が出来ますので看板やサインなど屋外に設置されるものにも使用されています。
・比較的安価に版を作ることができますので少量印刷の場合はコストを抑えることが出来ます。
・厚く盛ることが出来るため下地の影響を受けにくいので色合いも鮮やかに表現できるのが特徴です。
・1色ごとに印刷しますのでたくさんの色数を使う事ができます。インクも進化していますので様々な種類ができています。用途にあわせて幅広く色々なものに印刷することが可能になりました。
Tシャツやオリジナルグッズなど広く一般的に用いられている
シルクスクリーンプリントは無地のカバンやTシャツに自分でデザインしたイラストや絵を印刷できるのでオリジナルグッズを作ったりチームTシャツを作ったりするなど広く一般のみなさんにも活用されています。
そして、ホームセンターや100均などで購入できる道具や材料(コルクボードやカッティングシートやホチキスやタッカー)などを準備してDIYで自作の印刷機をご家庭で作って世界でひとつだけのまさに唯一無二のオリジナルを作って楽しんでいる方もいらっしゃるようです。
大量注文によって単価を抑えられる
1色ごとに1枚ずつ印刷しますので印刷するのに時間かかかります。
そのため短期間で大量に印刷するのには向きませんが、一度版を制作すると何度でも印刷できますのでプリントする枚数を大量注文することにより1枚あたりのコストを安くすることが出来ます。
洗濯にも強い
インクを直接乗せているので密着性が高いです。
お天気などにも強い耐候性にも優れています。
そのため他の印刷方法では何度か洗濯すると取れてしまうTシャツへのプリントなども長持ちしますのでお洗濯にも強いのが特徴です。
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まとめ
いかがでしたでしょう。
シルクスクリーン印刷の歴史やメリットなどおわかりいただけたでしょうか。
シルクスクリーン印刷の歴史に日本の伝統がかかわっていたとは驚きでしたね!
調べてみると印刷機も簡易な物から本格的なものまで材料なども手間なく用意できそうですし、作り方も複雑な作業工程もなく意外と簡単に手づくりできそうな感じですので、みなさんもご自宅で楽しんでみてはいかがでしょうか?
最初は失敗もあるかもしれませんが、何枚か印刷するうちに仕上がりがキレイになると思います。
インターネットで検索すると色々と出てきて楽しいですよ。
そして、オリジナルのデザインのエコバッグなどをたくさん作りたくなったらプロの力も使ってみてください。
このブログが少しでもみなさんの参考になれば幸いです。